とまれかうまれ、とく破りてむ!

行き場を失った物語の墓場

まえがき

「とまれかうまれ、とく破りてむ」とは、今や比叡山の片隅に埋まってしまい誰にも見向きされなくなった日本最古の道化師、紀貫之公の言葉である。

日本文学史にその痴態を明々白々遺した奇行文(または紀行文)であるところの『土佐日記』は、執筆するうちに作者が己の狂気に気がつき「書くのはやめだ。事情はどうあれ、こんなものは早く破り捨ててしまおう」と冷静さを取り戻した一文で幕を閉じる。


この一文をブログのタイトルに選んだのは、紛れもなく、ここに連ねていく予定である物語がビリビリに破かれて然るべき荒唐無稽な代物であるからだ。


ここまで警告を重ねてもなお、読まんとする阿呆者は残飯入れやごみ処理場、或いは地獄温泉の匂いを堪能する覚悟を自分が決めたのかどうかしっかり問い直した上で読んでいただきたい。


【次回予告】

『野獣1週間』第1章「名前のある怪物」